ハイファイ新書

10年前に何聴いてたかを考えるとあまり変わっていなくて驚いたりする。ハイファイ新書をたまたま今日聴いて、ふと発売日を調べたら2009年の1月だった。相対性理論がインディーズで売れてどこでも名前を見るようになった辺りのように記憶してるが、メディアの露出が控えめだったせいか、「ハイファイ新書」というアルバムについて、制作の裏側とか、アルバムへの論評とか、全く見た覚えがない。やくしまるえつこという女が凄いことだけは到るところで聞いた。

ハイファイ新書は名盤だと思う。

テレ東
地獄先生
ふしぎデカルト
四角革命
品川ナンバー
学級崩壊
さわやか会社員
ルネサンス
バーモント・キッス

全部で33分21秒で、ジャケットにはでっかく「33:21」と描いてある。電車で片道一時間の高校に通ってたときは大体2周聴いていた。未だに「学級崩壊」「さわやか会社員」「ルネサンス」の三曲の歌詞の意味がよく分からない。何度聴いてもずっと分からない。森博嗣の小説の主人公が冗談を言った後に「意味はない。意味がないのが高級なんだ」と人を喰ったように付け加えるのが好きで、これらの曲を聴いてるとそんな感じがする。
それ以外は全部ラブソングだと思う。「地獄先生」の中で「フルネームで呼ばないで、下の名前で呼んで」という一節があるけど、これ凄い。なんのことない甘えたフレーズのように聞かせているけれど、生徒を先生がフルネームで呼ぶのは卒業式くらいのものと考えると、計算づくの言葉選びだと思う。
「バーモンド・キッス」は、昔、それこそ10年前に聴いてたときは何を歌ってるのかさっぱり分からなかったけど、これは不倫の歌だと思う。(というか、この解釈を誰かに教えてもらった気がする)「二重生活やめた」とか、「破壊工作やめた」とかって言葉はそのままの解釈で結び付けられるけど、意図的に「世界征服やめた」っていうワードが最初に置かれているから、これなんの歌なんだろう?ってごまかされる。
ハイファイ新書に限らず、相対性理論がなんかの音楽の文脈に沿って語られたりするのをもうちょっと読みたいと思う。このアルバムに収録されてる曲をコピペするためにWikipediaを見たらほぼ何も書かれてなくて、「もうちょっと情報くれよ!頑張れ!」って思った。自分で書けばいいんだけども。
人生で5番目以内くらいには繰り返し聴いているアルバムで、受けた影響というと大それた話だけど、自分のなにかの癖の一部くらいにはなってるんじゃないかと思う。このブログの名前も、ハイファイ新書みたいに、音楽用語っぽくないけど音楽に関係してる言葉を選びたいと思ってimpedance0.1にしている。誰かに気持ちを伝えるために書くなら、ハイ受けロー出しである。