なぜ地下室TIMESを好きになれないんだろうか?

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BASEMENT-TIMESについて
BASEMENT-TIMESでは、音楽、バンドをより楽しむ為のウェブマガジンを基本方針として運営しております。
より皆様の興味を引き、より楽しんで満足してもらえるレビューを心がけております。
大手音楽ニュースメディアが取り上げないような細かな情報から個人運営のブログにはないサイト全体の情報量で、音楽をより楽しむのに欠かせないサイトになれることを目標としています。

2016年1月での月間PV数は160万ということで、音楽好きの友人のほとんどは名前を知ってるんじゃないかな、くらいの感覚。
音楽系のブログというと個人的によく見ていたのが路地裏音楽戦争だった。そこが閉鎖してから、流れるように地下室TIMESを見るようになった人も多いはず。検索かけたらTIMESにも路地裏音楽戦争について書かれた記事(http://basement-times.com/post-14052/)があって懐かしくなった。
現在地下室TIMESがどんな記事を掲載しているのか、タイトルだけを箇条書きにしてみる。

Red hot chili peppersの時代はもう終わった

[Alexandros]が売れたのは、川上洋平の顔が良かったからなのか?

”アーティスト”と”作曲家・演奏家”の違い、わかってる?

なかなかの煽りっぷりだった。
内容の精査は個々人のリテラシーに依って構わないのだけど、少なくともRed hot chili peppersの新しいアルバムはUS itunesチャートで一位を取ったそうだし、[Alexandros]に限らずイケメンがいるバンドが売れるならもうちょっと邦楽シーンの顔面偏差値は上がっていいし、最後に至っては「15歳13歳のためのハローワーク<音楽業界編>」くらいのタイトルでいいよな、くらいの感想を持った。
個人の感想とバンドに対するカオティックなルサンチマンと根拠のない不定な命題、それでいて誰でも語れることがみんな好きだから、こういう記事が書かれるのだと思う。PVで収益上げようと思ったらタイトルが多少煽り臭くなっても仕方ない、というのがライターのほんとのところかもしれない。そういうそこはかとない煽りが作る空気みたいなものが一番苦手なとこだったりする。
この感じをずっと以前にどこかで経験したことがある気がして、しばらく考えてみると思い当たった。星海社の編集者座談会だ。お手軽批評を会話形式で作品にぶつけてハイ次ー!みたいなあの感じ。感想の域を出ない話を当たり障りのない結論で締めくくられ、僕はいったい何を読んでいたんだろう?と肩透かしを食らう。

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公開デモ音源審査とかをやってるところを見ると、本格的に似てる。

彼らは音楽を遍く批評するんだけども、彼らの記事がある音楽の価値を再創造する瞬間に立ち会えていない。知らないバンドや機材が沢山取り上げられていて、それだけで有用なことは多い。しかし、一つ一つの記事が濃いかと言われれば、そうではない。あくまでライター一人一人の、言ってしまえば個人のブログの集積が、一つのニュースサイトのように扱われる。論拠のない通(俗)説を掲げ、常識だとして書かれていることが一つ影響力を持って、実際に音楽好きの友人の口に膾炙し、広まっていく。その話自体は、正しくても正しくなくても、どちらでもよい。どちらでも違いはないし、誰かが困ることもない。Red hot chili peppersの時代はもう終わったのか? [Alexandros]が売れたのは、川上洋平の顔が良かったからなのか? ”アーティスト”と”作曲家・演奏家”の間に違いはあるのか? そもそも、なにが正しいのかなんてことは誰にもわからない。その言論のあり様とはいかがなものか? 文句ではなくて、疑問だ。それは、果たして、どのようなものか?
僕が思うに、それは色々なことを窮屈にしてしまう。YesかNoで答える問いをぶつけられたら、僕らのスペースは二分の一になってしまう。なにかを他者に問うことそれ自体が、根本的に野蛮な態度。って昔の人が言ってた。
いまはそんな風に思っているけど、いつか好きになれるかもしれない。好きじゃない理由を言語化するのは思ったより難しかった。もうちょっと上手く書ければいいのにな。

最近はcinraばっかり読んでる。
www.cinra.net