2013/08/27自動販売機の話

 夜中も過ぎると街が暗くなって、人とか虫は24h営業店に集まる習性がある。そんなわけで引き寄せられるようにすき家に行った。注文してしばらく待つと店員さんがトレーを持って現れた。いただきますの前にふと店員に目をやったら先輩だった。深夜3時にこんばんは。お疲れ様です。いただきます。いやはや恥ずかしいよ。いかに私生活が荒んでるのかってことがもろバレだし。すき家まできてまぐろのたたき丼食べてるし。野菜とってないなあと思ってサラダセット選んでるし。そそくさと食べて店を出た。
 コンビニの横にある喫煙所でベンチに座ってなんとなく時間を潰していると、どうにも落ち着かない気分になった。この辺ちょっと精神状態に問題があると思うのだけど、ようするに寂しかった。夜な夜な散歩すると切ない気分になる。コンビニ店員の働いてる姿を見たりするのがちょっとした慰めになるくらいだった。なんだか色んな考え事に耽っていると、目の前にあった自動販売機の仕組みが気になりだした。普段スカートの中身については熟考するくせに、自動販売機の中身はあんまり考えたことがなかった。
 外見的特徴から考察を始めた。大体標準的と思われる自動販売機は、飲み物が3段くらいに分けて販売されている。500mlペットボトルが入る段と入らない段があって、微妙に段の幅が広かったり狭かったりする。貨幣を入れるところは右側に付いている。右利きならいいが、左利きの場合はちょっとお金が入れづらかったりするのかもしれない。硬貨の挿入口は横長である。そのちょっと左下に紙幣(1000円札)用の挿入口がある。貨幣の区別を行う機械はどのような仕組みになっているのだろうか。例えば、コインを大きさで区別しているとすると、どうだろう。精密に同じ直径・厚さにした木片とかでも100円玉になったりするのだろうか?
 大きさによる区別がされているというのは、考えづらい気がした。同じ大きさに木を切る加工なんて簡単だし、それで自販機が誤魔化せられるならば、もっと全国的に、偽硬貨を使いジュースを買う事件が起きているはずだ。そんなニュースは聞いたことがない。ならば、硬貨の重さで区別しているほうが考えやすい。金属を丸く加工し、硬貨と同じ重さにするのは、一般になかなか難しいはずだ。1000円札については、どうやってるのかは分からないがスキャンされていると思う。紙幣の場合、重さで日本銀行券であることを確認するのは難しいからだ。こう考えると、結構自販機ってハイテクなんだなあと思う。
 考えは次に、つり銭の出口に向いた。硬貨は上から落ちてくる。自販機内部の中のつり銭用スペースから、特定のつり銭だけが落ちてくると考えられる。この精算が可能ということは、三つの場合に分けられるはずだ。

①支払った硬貨はつり銭用スペースに落ちて、つり銭用スペースからおつりが出てくる場合
②支払った硬貨は「売上」スペースに落ちて、つり銭用スペースからおつりが出てくる場合
③支払った硬貨は「売上」スペースに落ちて、つり銭用スペース又は「売上」スペースからおつりが出てくる場合

 要するに、支払った硬貨が溜まっていく「売上」スペースはあるのかどうか、ということだ。実験として平成3年の100円玉を自販機に入れたあと、おつり返却レバーをひいてみると、同じ100円玉が出てきた。何回繰り返しても同じ。たぶん、硬貨を一時的に(商品が買われるまで)ストックするスペースがあるのだ。ところで、挿入した硬貨がどのように中でストックされるのかは完璧に推測によるしかない。重力を利用して、下から上に積み上げられていくストックの仕方が自然かと思われる。ストックスペースとつり銭スペースは一緒のもので、挿入した硬貨がつり銭の中で一番上に積まれて、おつり返却レバーを引くと一番上の硬貨からつり銭の出口に落ちてくると考えることもできるが、これはちょっと不自然な気がする。まして「売上」スペースなんてあっても邪魔な気がする。僕の最終的な見解は、ストックスペースとつり銭スペースがそれぞれ用意されている、というところに落ち着いた。つり銭スペースは、重力を利用している限り、硬貨挿入口とつり銭出口の間に物理的に存在するはずなので、ちょっとした金属用のこぎりを持って挑めば強奪も出来ちゃったりするかもしれない。
 そして、商品出口が2股に分かれている自販機があることを発見した。確証はないが、HOTとCOOLの違いではないかと想像する。なぜ2股に分けなければいけないのか?自販機内部では温度差が激しいので、HOTの飲み物は特殊な場所で常に加熱されて温度を保っており、商品出口はその特殊な場所に対応しているとの説明を考えた。しかし不明。想像することに意味がある。
 自販機の足元は結構しっかり固定されている。地震があっても倒れないようにとか、自販機ごと持ってかれないようにだとか、様々な考慮があるのだろう。
 あとは、商品の値段・商品選択ボタン・選択ボタンに対応する商品の位置をそれぞれどういうふうに統御しているのか、という問題が残っている。自動販売機のプログラムが書き換え可能かどうかで話が違ってくるけれども、値段は変更可能で、ボタンと商品位置との対応は変更不可かなあというのが僕の考えです。説明は面倒なので省こう。
 常日頃、このような精密さを以てスカートの中身を熟慮しております。

答え合わせ/硬貨選別機