2013/05/16webが好きかどうかの話

 趣味はインターネットですと自己紹介する場合、それのどこが好きなのかという話になったりする。ネットが趣味という人の場合、各種SNSだったり匿名掲示板だったり動画サイトだったりのコンテンツを好きな人が多い。もともと人を惹きつけるようにできているのだから、それが好きなのだということは至極当たり前のことだ。あるいは逆にコンテンツを作成して公開するのが好きな人もいるだろう。自分が描いた絵だとか撮影した動画だとか執筆した文書だとかを世の中に広く公開してレスポンスを受けると、承認欲求が満たされて気分がいい。なんにせよインターネットのいち部分が好きであるという点では変わらない。音楽の話に置き換えれば、特定の時期の特定のミュージシャンやムーブメントが好きだというのと一緒だ。
 コンテンツの消費が好きか、あるいはコンテンツの生産が好きかという話で大きく二分したが、それ以外のことについて考えてみると、コンテンツが生産されて消費されるまでの「場」の話がまだ残っている。Hatenaの匿名ブログという仕組みはブログに対する参加コストを低下させたとか、ソーシャルブックマークという仕組みが出てきたことで大勢の人が共有する有益(である可能性が高い)な情報にたどり着ける可能性が高くなったとかいうような、webの設計にまつわる話のことだ。インターネットについて話すと忘れられがちなのが、こうした空間自体の話だ。なぜ忘れられがちなのかというと、たぶん現実には空間が当たり前のように存在しているから、それがweb上にも当たり前のように存在していると信じてしまって、web空間が設計されたものという発想がすっぽり抜けてしまうのではないかと思う。我が家で家庭内のコミュニケーションを取っているとき、リビングがリビングとして作られていることや一人部屋が一人部屋として作られているのを忘れがちになってしまうのと同じことかもしれない。
 趣味はインターネットですと言うとき、必然的に①コンテンツの消費②コンテンツの生産③場という三つの要素を包含していることになる。僕がwebが好きかどうかと考えたとき、どうにもただ①が好きなだけなんじゃないかなと疑いはじめた。お金を払わなくてもできることがいくらでもある。ニュースもコミュニケーションもポルノも、娯楽的コンテンツがいくらでも溢れている。web関係の仕事に就こうとか考えたら、やっぱり②や③にも興味・関心・造詣がなければいけないなあと。。